講座だより
桐朋講座の活動の様子やイベントなどを、折にふれてお伝えします。
実施した講座内容のご紹介などもあります。
講座だより一覧
モゲ散歩
今年度最後の散歩になります。今回は高尾の駅からスタートです。高尾の北側には戦国時代に作られた八王子城があります。小田原北条氏の支城で山の稜線を巧みに使った山城でした。北条氏が滅亡したあと幕府の直轄地になったりしたこともあり、遺構はしっかり残っていて、現在はきれいな公園になっています。この城跡を見学しました。城の正面には寺院が残っています。もともとこの地区は鎌倉時代から人が多く住んでいたようで、梶原景時が所領として受け継いだところが基になっています。この地に鶴岡八幡宮にあったご神体を移した八幡宮が作られ鳥居の前には景時が植えた杉が残っています。その後北条氏が入って多くの武士が住んだこともあり近くには刀工が数多く住み着いていたようです。ということでこの辺りを元八王子と呼ぶそうです。ここから南に行くと大正天皇と昭和天皇の陵があります。広大な森の中に上円下方墳が4基まつられています。この陵に参拝する人の為に昭和初期に京王線が鉄道を引きました。戦争が激しくなって廃線となりますが、その線路の一部を使って後の高尾線が開設されました。今でも浅川の近くに当時の橋脚が残っています。
世界を知る
今回の講座が2024年度の最後になります。この1年間様々な事がありましたが、やはり一番大きいことはアメリカの大統領選挙と現在の状況を扱うことが多かったと思います。前半は新型コロナの蔓延という話題が大きかったのですが、現在は落ち着いてきたように思います。
さて今日ですがエジプト文明展の紹介から始めました。老化をも防止するという成分を発見した健康食品メーカーの話もしました。トランプ大統領関連がどうしても多くなります。SDGsに関する取り組みを中止するということやウクライナからの避難民を強制帰国させようとしているとか、とにかく話題が多いのです。その考え方をするに至ったのはどのようなことが影響しているのか? そしてこのままでいくとアメリカの地位の低下が起きてしまうのではということにも考えを広げました。世界が平和に過ごせるようにという考え方が大国を率いる指導者に欠けているのではないかと思うことが余りにも多いように感じます。最後にアサド政権が崩壊したシリアについての報道が少なくなっている中で現地取材をした記者の報告をもとに現状がどうなっているのかを説明しました。そんな折、旧アサド政権を支持する勢力と現政権が衝突する事件が起きました。多くの一般人が犠牲になりました。この国が平和を取り戻すためにも多くの国の支援が必要だと考えます。
モゲ散歩
今日は春の陽光を浴びながらの絶好の散歩日和でした。今回は洗足池近辺を散歩しました。集合は池上線の石川台という駅です。五反田から蒲田を結ぶ3両編成のローカル色の濃い電車で集合場所に行きました。ここは中原街道に沿った部分になっています。中原街道は古代から重要な道として作られていたので史跡も多いのです。中原の名は江戸の虎ノ門から平塚市中原まで結んだ道から付けられたものです。東海道は参勤交代道中があったりとせわしないので江戸時代の一般の人はこの道を通って平塚に行ったという事です。中原には家康が作った御殿があり駿府へ行く時とか鷹狩りの時にこの道を通って御殿に行ったようです。洗足池の所には妙福寺というお寺がありますが日蓮上人が池上本門寺に行く時に足を洗った所とされていて、境内にはその時着ていた袈裟をかけたと言われる松がありました。日蓮上人が足を洗ったということで池の名を洗足池というそうです。しかし地名は千束となっています。これは平安時代に平将門征伐に派遣された人がこの池の所に居館を建て住みつき姓を池上と名乗ったとのこと。そして元貴族であったことから地元の人たちの租税を米千束(せんたば)免除したという事から付けられたと言います。池の傍にある千束八幡宮は房総から鎌倉に戻ろうとした源頼朝がここに八幡宮があることを知りここで鎌倉攻撃の旗揚げをしたところ周囲にいた武士がたくさん集まったという話も残っています。またこの地を愛した歴史の偉人に勝海舟がいます。海舟は池の傍に別邸を建てて晩年はここで過ごしていました。遺言でこの地に墓を作って欲しいとあったため現在池に面して勝夫妻の墓所があります。近くにある勝海舟記念館では勝家の家系図が公開されていますが先祖場物部守屋だという事がわかるという家系図が展示されていました。中味の濃い散歩になりました。
世界を知る
日本の少子化が急速に進んでいます。昨年は婚姻数が増えているのですが出生数は前年比5%減です。女性に育児を頼る傾向や養育費の高騰もありますが産科医のいない地域が拡大しているというのも原因になっている可能性があります。異常気象が世界各地で発生しています。その原因の1つは偏西風の屈曲によるところが大きいと言われています。人間活動が盛んになった結果気温や降水量の変動が大きく影響していると言われています。大船渡の山林火災もその影響を受けています。マイクロプラスティックの人間に与える影響が問題なっていますが、身近にあるティーバッグに注目して見ました。大阪万国博覧会の開始まで43日となりました。最新技術がたくさん展示されるそうですが人型ロボットも進化を遂げているようです。国連で同じ日にウクライナ侵攻に関する決議案が総会と安全保障理事会で話し合われ違った内容の決議がされました。アメリカとヨーロッパの関係に大きな変化が現れたものになりました。国際社会での共通認識形成に大きな問題点が生じてしまった感があります。そのウクライナに平和は訪れるのでしょうか? 今日ゼレンスキー大統領がトランプ大統領と会談します。アメリカ主導の考えが前進するのでしょうか?トランプ大統領の施策が次々に出されています。それを受けて世界各国が対応しなくてはならないのですが、グローバルサウスと呼ばれる国々も注意して対応しないと大変な痛手を受けることになるだろうという事を考えました。今のアメリカは自国中心主義を貫き、国際協調で問題解決するという方向を崩そうとしています。この段階での発信に疑問を持つ人も多いと思います。世界はお互いに助け合う事によって平和な国造りに進もうとしていたはずなのですが、現在はポピュリズムの考え方が強くなってそのバランス崩れようとしています。世界の指導者たちがもっと将来を考えて行動して欲しいと願いばかりです。
世界を知る
新型コロナの感染状況の報道が出なくなったので、もう安心できるのかと思いましたが、実は下がり切っていないことが分かりました。インフルエンザの流行もありましたが少し警戒心が薄くなっているのではと思いました。ミュージアムホテルの目黒雅叙園が突然休館するという事となり180組の結婚式ができなくなるという状況が発生しました。外資に経営をゆだねた影響ですが、1970年代100万組を超える結婚式があったのが、現在では40万組にもならないという事で毎年結婚式場が200件ほど廃業か他業種への移動となっているそうです。少子化の影響がここまで及んでいることが分かりました。未だにはっきりしないのがミャンマーで起きている人身売買も絡んだ特殊詐欺グループの摘発です。中国マフィアがバックにいるといわれ特殊詐欺に携わる人員が1万人を超えると言われています。日本だけでなく世界各国で特殊詐欺が蔓延している状況に驚きました。トランプ大統領が就任して1か月が経ちましたがその強引な手法に世界は振り回されている状況です。これをilliberalism(非自由主義)と分析できると言います。広く受け入れられている表現、思想、行動の自由を否認する特定集団の過激主義と説明されています。時には法律に違反してでも強引に政策を実行する。自分の周りにはYesmanを置き、自分の考えに反する勢力は次々に処分する。ウクライナの停戦に向けてもロシアとの間で高官による会議を持ちましたがそこにウクライナやヨーロッパの代表は同席しませんでした。二つの大国で何事も決めていこうという姿勢です。世界は平和を願っています。毎日多くの人が傷つき死んでいる状況の中で本当の平和は何か? これからまだトランプ大統領に振り回される状況が続くのでしょうか?
モゲ散歩
三寒四温と言われ少しずつ春に向かっている、そんな時に行われたのが今日の散歩です。今回は東京都現代美術館で開催されている「坂本龍一 音を視る・時を聴く」展鑑賞をメインに行いました。清澄白河駅から美術館まで歩きます。青空の下のんびりと向かいます。この辺りは江戸時代木場があったところで材木屋がたくさんあったところでもあります。北側にある仙台堀川を渡る橋はかなりの上り坂の上にあります。ゼロメートル地帯を実感しました。現代美術館では多くの参観者が並んでいました。30分ほど待たされて中へ。真っ暗な空間に巨大なスクリーンがありそこに映し出されるモノクロやカラーの映像と坂本龍一の音楽。観客の方々はその空間に飲み込まれたように視入って聴き入っていました。笙が奏でる曲やシンセサイザーが作り出す音。ある部屋では天井にある水槽の中に煙が漂っている上から光線が投射され床に複雑な文様が広がります。東日本大震災で被災したグランドピアノが曲を奏でる・・・とにかく1時間半ほどの時間が濃密であり、ある面さわやかな感動を得ることができる時間でした。その後は現在放送中の「べらぼう」にも登場する松平定信の墓所がある霊巌寺、出世不動のある長専院を訪れました。
世界を知る
今日はバレンタインデーです。バレンタインというとチョコレートという事になるのですが、そのチョコレートの原料であるカカオについて知っていることが少ないと思い触れてみました。カカオというとガーナという国が想起されますが、カカオ農家の人でチョコレートを知らない人がいるのです。そのカカオが現在高騰しています。原因は地球温暖化。農地に十分な雨が降らなかったりして収量が減少。さらにガーナでは金の不法採掘で農園が破壊され生産量が激減している状況を話しました。トランプ大統領が就任してまだ間がないのですが、次々に出される政策が世界に大きな波紋を広げています。前回取上げたガザの問題もトランプ大統領の動きによってせっかく停戦した状況が崩れてしまうかもという事が見えてきました。またプーチン大統領とウクライナについて電話会談をし、停戦に向けて実のある話し合いが出来たと発表しました。しかし、ゼレンスキー大統領の希望する停戦に持ち込めるかは分かりません。ロシアはトランプ大統領を利用して有利にウクライナ情勢を終結に持っていきたいと考えているようです。このロシア寄りの動きに連動するかのようなインド・モディー首相との会談も行いました。インドとの関係性を良くすることで中国包囲網を確実にしたいという考えが見えてきました。またトランプ大統領が紙製のストローを止めてプラスティック製に戻すという大統領令にサインしました。トランプ大統領の環境問題に対する認識はどのようなものなのでしょうか? Drill Baby Drill政策で石炭や石油、天然ガスを掘りまくることになるのですが、北極圏の野生動物保護区の規制も停止するということ。地球規模での問題を一人でかき回してしまう状況に不安を感じました。
モゲ散歩
今日の散歩は築地居留地跡を中心に回りました。明治元年(1868)に東京の町中に外国人だけが住む場所を確保するために、当時大名屋敷だったこの地に居留地を作りました。日本全体では長崎や神戸、横浜、新潟などに作られました。これらの居留地と築地の違いは商人がいなかったことです。商人は横浜に住み、用事があると鉄道で東京にやってきたのです。その為築地には外国政府の役人や宣教師が住みました。宣教師の人たちは学校や病院作りに奔走します。アメリカ聖公会のトイスラーは聖路加病院を作ります。同じ聖公会のウイリアムは立教学院を作ります。これをはじめとして女子学院、雙葉学園、青山学院、明治学院などキリスト教系の学校が作られていきます。後に他の地に移っていくのでここには石碑しか残っていません。その中に築地カトリック教会が現存しています。パルテノン神殿のような外観を持つ建物で、中には踏絵なども展示されていました。居留地に住む外国人の為に牧場も作られたのですが、その経営者が芥川龍之介の父親で、龍之介はこの地で生まれました。そこから隅田川沿いに北上して鉄砲洲にある汐見地蔵や鉄砲洲稲荷神社に行きました。鉄砲洲稲荷神社には富士塚がありました。また、この辺りは戦災の被害を受けなかったところもあり、大正時代の住宅も残っていました。
世界を知る
この一週間でも様々な出来事がありました。国内では石丸新党発足、石破首相の東南アジア歴訪、宮崎での地震とありました。昨年の都知事選挙で次点に入った石丸氏が地方政党を立ち上げたのも話題です。国際社会での日本の位置づけを考えた時に日本が何を考えてどう行動しなくてはならないかについて考えました。宮崎で起こった地震と南海トラフ地震の関連性が問題になりましたが、阪神淡路大震災から30年の今、日本が抱える危険性にも言及しました。海外では韓国の大統領が内乱罪で拘束されました。戒厳令から1か月、国内の支持率が変化する中今後の展開がどうなるかをしっかり見ていく必要があります。ウクライナでは北朝鮮兵の捕虜の映像が公開されました。彼らのおかれている状況と何故このような戦闘に参加したかという事も分かって来ましたが、これが正しい情報なのかはしっかり検証する必要があります。パレスチナ紛争で6週間の停戦が実現しようとしています。アメリカの圧力がもたらした結果と言えるでしょうが、15か月で5万人弱の人が死亡したこの紛争は平和を追求してきた国際社会が大きな問題を抱えていることを改めて感じるものです。週明けに就任するトランプ大統領がどのような政策を行うかがこれからの大きなポイントになると考えます。側近のマスク氏の存在感が増す中様々な問題も生じています。共和党内の不協和音も聞こえてきます。
モゲ散歩
2025年年明け最初の散歩です。天候にも恵まれ気持ちの良い散歩になりました。今回は新橋駅から築地までの散歩になります。新橋駅から東に行ったところに明治3年最初の鉄道駅新橋が作られました。現在は当時の建物を復元し博物館になっています。汐留の貨物駅があったところは現在高層のビル群になっているのでその谷間にありました。近くには銀座に唯一残る踏切の警報機がありました。中央卸売市場へ荷物を運ぶ線路の所にあったものです。外国人でにぎわう築地場外市場の隣には波除神社があります。茅の輪が入口にありました。この神社は築地を埋め立てる時に強風と大波でなかなか工事が進まななかった時、沖に現れた八幡様を祀ったところ波風が収まって工事が進んだことからここに祀ったといわれています。鳥居の両側に大きな赤と黒の獅子頭が安置されていて毎年お祭りの時には神輿になって界隈を練り歩くのだそうです。近くには勝鬨橋がありました。日本の技術だけで戦前に作られた開く橋です。1970年頃からは開かなくなりましたが、現在でも多くの車や人が利用しています。この橋は昭和15年に開催予定だった万国博覧会に向けて建設されていたものです。日中戦争のために博覧会は中止になってしまいました。近くにはインド様式で作られた築地本願寺があります。石造りの立派な寺院です。最後に桂川甫周の屋敷跡に行きました。桂川は日本史の教科書にはほとんど出てこない人ですが江戸時代のお医者さまです。解体新書の翻訳にも携わり蘭学による外科術にも長けその名声がヨーロッパにも伝わりました。難破してロシアにたどり着いた大黒屋光太夫が帰国した折に取り調べを行なったのもこの桂川です。その時に光太夫がロシアで桂川のことを聞かれたと言われたという話が残っています。そこまで名声が伝わっていたのだと感心しました。そのような話をしながらの散歩でした。