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世界を知る

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2026年の年明け最初の講座になります。東京は三が日穏やかな天候に恵まれましたが、その最後の日に驚きのニュースが飛び込んできました。アメリカ軍がベネズエラのマドゥロ大統領を拘束したというニュースです。前回から3週間の間があったので色々と準備をしてきたのですが、それを吹き飛ばすニュースになりました。今回はこれをメインに展開することになりました。

最初にこの3週間のトピックスを取上げました。今回のアメリカのベネズエラ侵攻にも影響したといわれるナイジェリアのIS拠点へのアメリカ軍の攻撃がありました。キリスト教徒が迫害されているということを理由にしたものですが、トランプ大統領は他国には侵攻しないと言ってきたにもかかわらずイランに次いでの軍事攻撃でした。高市首相の台湾有事発言をきっかけに始まっている中国の対日政策が厳しくなっています。毎年行っていた日本の経済界首脳の訪中が延期、賀詞交歓会に駐日大使が参加しない、軍民使用可能資源の対日輸出禁止と矢継ぎ早に政策を出してきています。早期解決は難しい感じです。年末には台湾付近で中国軍の実弾を使用した軍事訓練がありましたが、これも台湾問題を考える上で大きな問題になることでしょう。日本の出生数の減少が止まらないというニュースも人口減少を裏付ける事でした。海産物の不漁が問題になっていますがその原因は地球温暖化です。その一因の二酸化炭素濃度の上昇から海水に溶け込んで酸性化が進んでホタテが不漁になっているという話がありました。イスラエルがガザで活動するNGOの登録を抹消しました。ハマスの活動員の隠れ蓑になっているという理由ですが、停戦で明るい兆しが見えていたのに被災民への支援が大幅に遅れるということになります。それに関連した映画「手に魂を込めて歩いてみれば」という映画の紹介をしました。ガザで活動する若いフォトジャーナリストとのテレビ通話をまとめたドキュメントです。悲惨な状況の中で生活する主人公の笑顔が印象的な映画です。●細菌兵器部隊として有名な731部隊については比較的良く知られています。昨年中国ではこの731部隊を主題にした映画が作られたというのが話題になりました。731部隊について日本政府は資料が少ないこともあり実態は良くわからないという姿勢を示しています。そんな中私も知らなかった9420部隊という、もう一つの細菌兵器部隊の存在を知りました。シンガポールを拠点としてペスト菌に感染したノミを大量に飼育して爆弾に仕込んで投下したのではないかというものです。現地の方が時間をかけてその実態を調べていらっしゃいますが、この部隊の資料はほとんど残っていないので、なかなか実態が分からないとのことです。終戦から81年。戦争の影響は残っているのです。●イスラエル関連で2つ。一つはイスラエル賞をトランプ大統領に贈ると発表したこと。基本的にはイスラエル国民に対して贈る賞なのですが、イスラエルを支えてくれた功績を称えたからという理由で授与が決まったそうです。もう1つがソマリランドという未承認国家を国家として承認したというニュースです。アフリカの角と呼ばれる所で、長い間内戦が続いている国です。そこにあるソマリランドをイスラエルが国家として認めたのは何故かを考えました。イスラエルはガザに住むパレスチナ人を海外に移住させようと考えていますが、その対象地の1つとして確保する狙いがあるのではないかと考えられています。●アメリカがベネズエラのマドゥロ大統領を拘束したというニュースがありました。このニュースは2026年の世界情勢に大きな影響を及ぼすものだと感じました。たった4時間半という時間で、1500機以上の航空機と200人規模の特殊部隊によって、ほぼ無抵抗で大統領を拘束したのです。トランプ大統領はマドゥロ大統領を「麻薬組織を操った張本人でありアメリカ国民を苦しめた」という罪でニューヨークの裁判所に起訴していました。これを理由に逮捕したというのです。アメリカ側は2人がケガをした程度でベネズエラ側は100人を超える犠牲者を出しました。この完璧な作戦に満足げなトランプ大統領が印象的でした。トランプ大統領は記者会見で「ベネズエラは麻薬以外にもアメリカが開発した石油資源を横取りした。それを取り戻すのだ。アメリカ第一主義を進めるのだ」といいました。今回の行動はトランプ大統領が提唱するドンロー主義という、西半球はアメリカの影響力下に置くという考えの基に行われたものです。今回の作戦はアメリカが起訴した犯人を拘束するために行ったもので、相手国の主権を犯したわけではないと主張しています。しかし国連安保理を含めて諸国は「主権侵害である」「国際法違反である」と反応しています。そういわれても仕方がない状況であることは明白だと思います。もしこれを認めてしまったら世界は大混乱に陥ってしまうでしょう。現在進行中のロシアのウクライナ侵攻も、今後想定される中国の台湾侵攻も問題なしという事になってしまいます。今回の作戦がもたらす問題を解決するためには国際法という法律が規範になります。しかし、現在国際法の影響力が低下していると言われています。トランプ大統領は完全に国際法を無視しているようにも思います。力があれば何でもできる。そんな世界になってしまうのでしょうか?第一次世界大戦前の帝国主義の時代に逆戻りしてしまうのでしょうか。そうならないために私たちが考えなければならないことは沢山あるように思いました。今年が平和で安心した国際社会になることを願うばかりです。

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