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モゲ散歩

  • 教養・スキルアップ

朝晩がかなり冷えるようになってきました。紅葉の時期も終わりに近づいて来た感があります。今日は日本橋三越前から始めました。三越と言えば日本を代表するデパートです。江戸時代は越後屋という呉服屋でしたが、明治期になって木造二階建ての店舗を作り、呉服だけでなく洋服も売り始めます。1904年に「デパートメント宣言」を出して日本初の百貨店をスタートします。店舗前に大きな凱旋門を作った時もありました。これは日露戦争で勝利したことを祝したからです。三越は当時写真が一般的でなかったので、写真部を作り衣装を貸して1時間で写真を渡すサービスや絵葉書の販売するという商売も始めます。1914年に完成した五階建ての新館が現在に引き継がれています。入口には二頭のライオン像があります。イギリスのトラファルガー広場のライオン像に魅せられた支配人が注文してここに置かれました。支配人がライオンが好きだったことと、日本一の百貨店を目指すという事を具現化したようです。三越の北隣には三井本館があります。関東大震災で被災した建物を新古典主義の立派な建物に作り変えられたものです。震災の2倍の地震にも耐えるような造りで、当時の一般的なビル建設の10倍の費用がかかったそうです。コリント式の柱が特徴の建物になっています。この近くには江戸時代から続く商店がたくさん残っています。鰹節のにんべんや大和屋、味付け海苔を最初に考案した山本海苔店、くだものの千疋屋などがあります。現在は近代的なビルに入っている所が多いのですが、歴史を感じさせるところです。このビルの裏側には2014年、付近のビル開発と共に作られた福徳神社があります。緑地を確保する動きの中で近くのビルの上に座していた神社を再建したのです。都会のオアシスのような所でたくさんの参拝客が来られていました。その後は昭和通りを渡って小津資料館へ。ここは伊勢商人の和紙問屋小津の資料館です。浮世絵の作品の展示、和紙の作り方、古くから所蔵している資料の展示などがありました。同じような浮世絵の展示をしている伊場仙にも訪問しました。国芳や広重の絵の版元でもあり、団扇にその絵を刷り込んで売り出したということで版木や団扇なども展示されていました。次にビルの谷間の細い通路を進んだ先にある出世稲荷神社に行きました。ここは見つけにくい所です。初代団十郎が参拝したという事で芸事成就を願う人が参拝しているようです。ここから少し離れた所に蔦屋重三郎の店跡がありました。今年の大河ドラマの舞台になっている所です。今は説明板があるだけです。この辺りは大伝馬町、チョット北に行くと小伝馬町です。ここには江戸時代牢屋敷がありました。ここは現在公園になっていますが、その一角にここで死罪になった吉田松陰終焉の地の碑がありました。最後に見学したのは近くの身延山別院。ここには俳優の長谷川一夫が寄贈したという「油かけ大国」がありました。江戸の街を実感するような散歩でした。

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