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世界を知る

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ロシアの「国民統合の日」のイベントでプーチン大統領が栗原小巻さんに勲章を贈ったというニュースがありました。栗原さんは1974年に公開された「モスクワわが愛」という日ソ合作映画で主演を務めました。その縁で今回の受賞になりましたが、プーチン大統領としては国際的に孤立していないことを誇示するものだったのではないでしょうか。FIFAが「サッカー界の平和賞」を今年から創設すると発表しました。会長とトランプ大統領の親密な関係からノーベル平和賞に対抗する為ではないかとも言われています。大エジプト博物館が開館しました。日本の支援を受けた所が大きく、入り口に日本語で博物館名が記されており、ツタンカーメンの展示室には日本語の解説もあると言います。パリにウルトラファストファッションの中国通販大手SHEINが実店舗を開設しました。出店に反対するデモも行われるなど出だしは厳しい所がありますが、所得が伸びない中で手軽に買える店舗は消費者にはありがたい存在なのでしょう。1月にあった下水道管の陥没事故から国内での安全確認が行われていますが、様々な問題を抱えて改修が進まないという状況が見られます。●日本国内での人身取引が明るみに出ました。12歳の中学生の女の子がマッサージ店で働かされていたという事件が発覚したのです。これが特殊な例ではないことに注目したいと考えます。昨年国内で人身取引被害者は66人も存在します。そのうちの58人は日本人なのです。簡単な理由で引き込まれ暴力や脅迫を受けて強制労働させられる例が多発しています。海外の拠点で特殊詐欺に加担された例もその一つです。●国際刑事裁判所(ICC)の所長は日本人の赤根智子さんです。2002年にオランダのハーグに開設されました。目的は戦争犯罪や人道に反する犯罪を裁くことです。ウクライナの子どもを不法に移送したプーチン大統領やガザでの民間人を攻撃し飢餓をもたらしたネタニヤフ首相に逮捕状を出しています。そのICCにトランプ大統領は検察官や裁判官に制裁を科すという圧力をかけています。ロシアも赤根氏に逮捕状を出しています。裁判所が目指す被害者救済をこのような横やりで存在が危うくなるという事を何としても止めなくてはならないと思います。赤根氏はその為にもしっかりこの組織の働きを知って欲しいと言っています。●トランプ大統領を取り巻く環境では様々な話題が次から次へと出てきています。ブルーステートと呼ばれる民主党の強い地域に治安維持を理由に州兵を派遣していることも訴訟問題にも発展しています。大統領に就任した時にインフレを抑えると言ったにも拘らず物価は上昇しています。議会で補正予算が成立できずに政府機関が閉鎖され、職員に給与が支払らわれないことに不満を持つ人々が増え支持率も低下しています。2日に開票された2つの州知事選挙とニューヨーク市長選挙で民主党の候補が当選したこともその表れです。これで民主党が優勢になったわけではありません。来年11月の中間選挙に向けて共和党も立て直しするでしょうし、民主党も国民に受け入れるための方策を考えていかねばなりません。国際社会の中でのアメリカの役割として多国間外交を進めてきた前バイデン大統領の政策を止め、個々の国との関税交渉と国内への投資を集めて笑顔のトランプ大統領の政策をどう評価すべきでしょうか? トランプ流の現実を押し付けてくる現状が今後のアメリカ社会、ひいては国際社会にどのような影響を与えるのでしょうか?

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