千葉焈先生講演録「桐朋教育を創った人たち」
- 女子部門
今年度より、学園史資料を広く世に紹介するWEB版「桐朋アーカイブズ」を始めます。戦中から戦後にかけて、山水高等女学校から始まり桐朋女子中・高等学校など各学校の残した多種多様な史資料のうち、公共的価値が高いものについては「桐朋アーカイブズ」として、順次紹介してゆくこととします(学園内情報共有誌「轂」と連携して展開されます)。9月以降、桐朋教育研究所の当HP上にて、アーカイブズ用に特化したコーナーを設置します。ここにその第一弾をアップすることとします。(2024年9月5日記)
WEB版の桐朋アーカイブズとして、最初にご紹介するのは、故千葉焈先生による桐朋会主催の講演録「桐朋教育を創った方たち」です。これは2003年10月18日に桐朋会が主催した講演会を、桐朋教育研究所がテープ起こしをして活字化、写真等も配した小冊子として出版されたものです(2006年10月25日発行)。千葉先生は名誉理事長というお立場でした。このパンフレットは学内を中心に配布、共有されました。学園の創基から始まって音楽科が創設されるまでの学園史の沿革が、細やかであたたかな眼差しによって語られた貴重な証言です。
講演時間の制約で最後が駆け足で終わっているのは返す返すも残念ですが、その結びのエピソードにはたいへん心を打たれます。昭和63年9月初頭、桐朋女子中・高等学校第二代の木代修一元校長が数十年ぶりに学園を訪ねて来られ、当時理事長だった生江義男先生や千葉焈校長(当時)とで懐かしく話を交わされました。当時89歳の木代先生はその三週間後に亡くなり、生江先生もまた2年7ヶ月後に亡くなったことが感慨深く語られます。
桐朋教育研究所の資料室には古い史資料がたくさん保存されています。その背景として、女子部門の創成期・発展期を支えた歴代校長の木代修一・生江義男・千葉焈の三先生方がそれぞれ当代一流の歴史家であり、1948年から1991年の半世紀弱にわたる期間、連続して学園運営を主導すると同時に、学園の教育実践の歩みを保存することに意識的・意欲的に取り組まれたことがあります。先人の営為への感謝の意も含めまして、本講演録を最初の紹介とする次第です。なお、講演形式ゆえの小さな誤り(思い違いなどによるもの)が含まれています。例えば、山水高等女学校第二代校長の小住徳三郎先生を長崎県出身としていますが、正確には福岡県のようです。細かなファクトチェックを経た学園史がアーカイブズによって更新されていくことを期待しつつ、細く長く続けていく所存です。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。 (桐朋教育研究所 アーカイブズ担当)